速消し
そりゃ「消しゴムで画期的な新製品を出せ」と言われ続けるのは大変だろうなぁとは思うんですけどね。
商品としては単なるポリ塩化ビニルのカタマリなワケだし、更に素材面での消字率はこれ以上はまず上がりようのないレベルまで完成してるものですから。となると、カタチを変えてカドの量を謳うぐらいしか新たな地平は残されてないわなと理解はします。
そこでこのクツワの新製品【早消し】は、スリーブに細い消しゴムをナナメに3本(速消し2は2本)挿してあり、通常の消しゴムだと一度の使用でカドひとつしか使えないところを同時に2つまたは3つのカドで消せる、というのがウリ。
なるほど、普通の消しゴムを一度かけるのに対して2倍3倍消せるということですか。「一気に3度消し!1行を早く消せる!」という、景気まで3倍増な惹句が勢いあってヨロシイですな。
…で、えーと、元のアイデアが2枚刃3枚刃の安全カミソリだというのは誰が見たところで明々白々なんですが、そうなると間違いなく使った後にアレを言いたくなる人も続出するとメーカー側の人間も分かってるはずですよね。アレを。いやもうボクみたいなソフィスティケートされた立派な大人は言いませんよ馬鹿馬鹿しい。ハハハハ。口が裂けても言わねっつの、な。
「キエテナーイ!」とか。
実際問題、消し具合はかなりイマイチです。ゴシゴシとこすると確かにカドが3つ同時に接地してるけど、どちらかというとこのカドとカドの隙間にもPVCがみっちり詰まってたほうがより良く消えるんじゃないかなぁ。
ホラ普通の消しゴムでも細かい部分をチマチマ消す時はカド使うけど、一行まるまる消したりする時はできるだけ接地面積増やすように押しつけて消したりするもんなぁ。ボクら何が何でもカドで消したいワケじゃないですし、時と場合によって使い分けますんで、メーカーさん側でそんな無理しなくても大丈夫ですよ?
ご丁寧に3本中1本だけ色のついた消しゴムは他の2本よりちょっとカタめの素材なので、手前に引いて消した場合、“柔・柔ときてトドメに硬”という2タイプの消し心地が味わえてより効率的な消字が出来るヨ!という仕様らしいんですが、その小細工がちゃんと効果を発揮しているかというと、果たしてどこまでのもんかという感じ。
正味、普通に四角の消しゴムの方が消えるし。
いやほんまにね、ボクみたいなダンディで分別のあるちゃんとした身なりの英国紳士が何度も言うようなことでもないですが「キエテナーイ」と。
入手時期:2007年9月
入手価格:157円
生産国:日本
発売元:クツワ