1.色物文具の定義



 当サイトでは、色物文具だ駄目文具だと、珍妙奇態な文房具ばかりを集めて公開している。こういうことをしていると、人から「これってイロブンですか?」とか「色物文具と普通の文具の境界線ってどこなんでしょうね」「アタマ悪いんですか?」などと質問される機会も多い。これまで、私は「ああ、雰囲気ッすよ雰囲気。なんかイロブンな雰囲気。わかるでしょ?」と適当な答えをして相手を煙に巻くという失礼なことを繰り返してきた(最後の質問には飛び付き十字固めを返答とした)。しかし、それは単に“ちょっと面倒くさかった”というだけのことで、実は私の中には、自分なりに定めた『イロブンの定義』なるものが厳然として存在するのだ。これに当て嵌めて条件を充たしたモノだけが、晴れて我が家の色物文具倉庫に収納されるのである。

◎条件Aを充たした上で、条件B群のうち1つ以上を充たすものを【色物文具】とする。

◎条件A
書く・消す・切る・削る・貼る・計る等、常識的に文具として認識できる機能を備えている。

◎条件B
(“文具としての機能”とは、条件Aの適応される部分を指す)
1.文具としての機能を発揮するのにまったく必要のない
(または関係ない)    形態である。

2.文具としての機能を発揮するのに困難な、又は不可能な形態である。

3.これまでの常識的な文具とはかけ離れた形態である。

4.必要以上に機能を先鋭化させている。機能発揮の必要条件が狭い。

5.2つ以上の文具としての機能を同時に備えながら、その
(片方乃至両方の)機能発揮が困難。

6.文具として必要ではない機能を同時に備えている。

7.学校に持って行くと先生に怒られる、または没収されると思われる。

8.社会人として、所持していた場合に周囲から常識を疑われる。

9.名前が笑える


 …以上が、イロブン定義である。非常に単純。まぁ、これ以上複雑だと、文具と相対したときにいちいち当て嵌めて考えるのが面倒になるだけなのだが。

 条件Aは、ただ文具としての前提をクリアするためだけに設定したものである。これをクリアしていないと、そもそも色物“文具”ですらないわけだから、必要条件といえよう。で、その上で色物としての属性を条件B群で見当する仕組みになっている。B群のどの項目を主に充たすかで『文具合成種・玩具合成種・形態異常種・付加価値種・群体種・機能特化種』という、イロブン6目のどこに属するか判断する。ある種の振り分けフィルタの役目を果たしているわけだ。「うむ、B群5番を充たしているのでコイツは文具合成種」という具合である。
 冷静に考えればB7〜9の辺りはどうもネタ臭い上に基準も特に曖昧だが、これまでの経験から、非常に重要な項目と判断して、条件群に入れてある。ちなみに、重なり合う要素を互いに多く含む『玩具合成種』と『形態異常種』を区分する分水嶺が7番。形態が妙なだけならともかく遊べるギミックがついている物をハネる(拒む)システムのうち、我々に最も身近な存在が学校だから、である。この辺のニュアンスは、かつて学校に【ゲーム下敷き】とか【野球盤筆箱】の類を持ち込み、当然のように教師に取り上げられた経験を持つ方ならどなたでも納得していただけるのではないだろうか。私などは相当量の玩具合成種を学校に寄付したことになっているが、あれは教師及び学校に対して窃盗とか横領とか問えんものか。今となっては手元にないのが悔やまれるような貴重なコレクションばかりなのである。まぁ、何度取り上げられても無反省な私が最も重罪なのは疑いないところであろうが。罪の重さと没収されたイロブン達の怨嗟で毎夜うなされ続ける私である。